私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

「あ、ありがとうございます」
「そしたら、ほら、結婚するかもって言うから……くるみちゃんにとってはいい話なのかわからなくて」

 そう言って鈴鹿先生は続ける。「でもね、正規になれば、産休も取りやすくなるわ。うちは休暇とりながらでも長く働いてくれる人が欲しいの。私だってそうして子ども3人産んで仕事続けてきたから困ったときはサポートもしてあげられる。どうかしら?」

 微笑んで鈴鹿先生は言う。
 鈴鹿先生が子育てしていたときは今よりも女性研究者の地位は確立されてなくて、理解者も少なくて、その中で研究を続けていくのは大変だったと聞いたことがある。

 そんな先生が、私にそんなことを言ってくれるのも嬉しくもあった。先生は続ける。

「したいかしたくないかで考えればいいの。もちろん、希望するなら今の働き方でも働き続けられるようにも考えてるし、結婚して家庭に入るっていうのもいいと思う」

 結婚は正直分からないが、
 私は今の職場も人も好きだし、なにより自分がやりたかったことに近い仕事ができることにも、心が弾んだ。

「結論はすぐでなくていいからゆっくり考えて」
「ありがとうございます」

 私はぺこりと頭を下げる。
 なんだか夢を見ているんじゃないかって、そんな気分だった。
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