私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

「なんで……」

 私が戸惑っていると、鈴鹿先生がリビングから顔を出す。

「うちの大学の『女性研究者の会』ってやつの会長が私。それで、芦屋は副会長ね。今、会員は10名いるわ」
「そ、そうなんですか」

 芦屋先生は慣れたようにそのままリビングまで進んでいった。私はそれについていく。

 すると、芦屋先生は、手に持っていた紙袋をテーブルの上に置き、そこからワインを取り出しながら口を開く。1本、2本、3本……

「どこの大学も大抵あるのよぅ。女性研究者だけの講演とか懇親会とかさ。最初は大学主催だったんだけどね、すぐに鈴鹿先生と意気投合して真の『女性研究者の会』作ったの。ま、つまりは『飲みたい女性研究者の会』ってだけなんだけど」

 4本、5本……
どれだけ取り出すつもりなんだろう……。と思ったところで、芦屋先生はやっとその手を止めた。
 それを見て鈴鹿先生は苦笑する。

「3人で5本って。うちにもたくさんあるのに、どれだけ飲むつもりできたのよ?」
「え、ちょっとストレスたまってるんですよ! まぁ、残ったらご主人の鈴鹿先生と飲んでください」
「だめだめ。あの人日本酒だけだし。また飲みに来なさい」
「そうですね」

 そう言い合いながら、鈴鹿先生もいつのまにかテーブルに色とりどりのおつまみを並べ終わっていた。

 なんなんだろう、この人たちの勢いと素早さ……。でも見ているだけでもちょっと楽しい。
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