私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
―――私は割とお酒に強い。
少なくとも……芦屋先生や鈴鹿先生よりは。
芦屋先生は、2杯目に入ったところで、すぐに、顔がふにゃりと緩んだ。
鈴鹿先生も3杯目の終わりごろから少し様子がおかしい。
二人とも、お酒は好きだけど弱いらしい。
そんな芦屋先生は、私を見て微笑む。
「私も、くるみちゃん、って呼んでいいわよね?」
「も、もちろん」
「え、私のお気に入りなのに……」
なぜか鈴鹿先生がそう言う。
「独り占めなんて絶対に許しません。かわいいものはみんなのものです」
「猪沢くんには聞かせられないわねぇ。男女関係なく睨まれるわよ?」
鈴鹿先生が言ったとき、芦屋先生の顔が怒ったようにゆがむ。
「くるみちゃん、結婚するんだって? 相手の猪沢先生って、須藤先生の同期なんだよね」
「そ、そうみたいですね。っていうか、私、結婚を決めたわけじゃないんですけど」
芦屋先生の言葉を反芻して、私は首をひねる。
相手までよく知ってるな……。
っていうか、なんで理学部の先生までこの話知ってるの! なんで!
一体どこまでこのふざけた結婚話が伝わってるのか怖くなった。