私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

―――私は割とお酒に強い。
 少なくとも……芦屋先生や鈴鹿先生よりは。


 芦屋先生は、2杯目に入ったところで、すぐに、顔がふにゃりと緩んだ。
 鈴鹿先生も3杯目の終わりごろから少し様子がおかしい。

 二人とも、お酒は好きだけど弱いらしい。
 そんな芦屋先生は、私を見て微笑む。

「私も、くるみちゃん、って呼んでいいわよね?」
「も、もちろん」
「え、私のお気に入りなのに……」

 なぜか鈴鹿先生がそう言う。

「独り占めなんて絶対に許しません。かわいいものはみんなのものです」
「猪沢くんには聞かせられないわねぇ。男女関係なく睨まれるわよ?」

 鈴鹿先生が言ったとき、芦屋先生の顔が怒ったようにゆがむ。

「くるみちゃん、結婚するんだって? 相手の猪沢先生って、須藤先生の同期なんだよね」
「そ、そうみたいですね。っていうか、私、結婚を決めたわけじゃないんですけど」

 芦屋先生の言葉を反芻して、私は首をひねる。
 相手までよく知ってるな……。

 っていうか、なんで理学部の先生までこの話知ってるの! なんで!
 一体どこまでこのふざけた結婚話が伝わってるのか怖くなった。
< 145 / 388 >

この作品をシェア

pagetop