私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
そう思った瞬間、修は無言のまま、指の腹で握った手の内を撫でるように擦る。
その感触にすぐに身体がびくりと跳ねた。
「ひゃっ……な、なに、修……?」
「俺以外に触れられるなんて悪い子だな」
耳元で囁かれる低い声に、またゾクリと背中が粟立って、次は勝手に視界がゆがむ。
顔も熱くて、身体も熱くて、修の声が耳に残って……。
―――それから急に5年前のあの日のことを思い出して泣きたくなる。
あの日もそうだった。
抱きしめてもくれない、好きだとも言ってくれない修が、何を考えているのかわからなくて怖かった。