私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
私がさめざめと泣いているというのに、修は修で当たり前みたいに部屋を物色して回ってる。
そしてケージの前で足を止めた。
「ハムスター?」
もともと理学部の生物学科出身の私は、生き物が好きだ。
だからこそ、就職にあぶれたあと、薬学部での生体管理のバイト募集に飛びついた。
研究はできないけど、生き物の近くにいると安心する。
このアパートは生き物NGだが、大家さんに頼み込んで、隣の人がOKなら、とハムスターの飼育だけは許されたのだ。
そして今、我が家では、ゴールデンハムスターを一匹飼っている。
「……アデニン。オス」
「アデニンって核酸の?」
私がコクリと頷くと、修がケージをあけ、アデニンに手を差し出した。「アデニン、ほら、こいよ」
アデニンはビビりだ。
そう簡単に懐くわけ……。