私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

「壮汰さんっていうんですね」
「うん、きみの名前は?」
「夏目くるみです」

 私が言うと、壮汰さんはにこりと笑う。

「くるみちゃん、ね。それも覚えた」

 話しやすそうな人だ。
 修の大学の友達ってことは、この人も修と同じお医者さんなんだろうな。そう思うと、やけに親しみを覚えた。

「でも、すごいですね。ちょっとしか会ってないのに覚えてるなんて」
「そう? ありがと」

 壮汰さんは楽しそうに笑う。それからふと道路の向かいのカフェを指さして、

「ここのカフェ新装されたの知ってる? コーヒーがおいしいの」
「新しくなったのは知ってましたけど、まだ入ったことはなくて」
「奢るよ。コーヒー飲める?」
「でも」
「猪沢のことで聞きたいことがあるんじゃない?」

 壮汰さんはそう言って私を見つめる。

(さすが大人だ……! なんでもわかるんだ……!)

 9歳違うと全然同級生と違う気がする。
 仕草や言動のすべてがスマートだ。私は思わずこくんと頷いていた。

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