私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
「山口教授、院にも誘ったって」
「あぁ……はい。でも私みたいな人間が研究続けるのも……。うちは貧乏だったから余計に」
確かに誘われたけど、私は断っていた。
お金のことは大きな要因ではあったのだけど、私は研究よりも早く仕事として動物に関わりたいとも思ったのだ。
「そっか。でも、それで私としてはラッキーだったわけね。こうしてくるみちゃんに来てもらえたんだもの」
「私も……私もここに来られてよかったです。鈴鹿先生や栗山先生にお会いできて……」
(好きなことに関わって、人にも恵まれて……。きっとこんな職場は他にはなかった)
私が言うと、鈴鹿先生は顔を綻ばせ、急に私に抱き着くと、ぐりぐりと激しく頭を撫でる。
「もうっ、ほんっとかわいいわねぇ!」
「わぁっ、ちょ、髪がっ!」
「いいじゃないのよぅ!」
そう言ってまた抱きしめられた。
その時、扉が開いて、栗山先生が出勤してくる。
そして私たちを見て苦笑した。
「鈴鹿先生、何をされてるんですか? 夏目さん、困ってますよ?」