私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

(まさか騙されてる……?)

 そう思ってみたが、連れていかれたのは、本当に鉄板ダイニングだった。

 全面ガラス張りで、外の夜景が良く見える。
 店内には広い鉄板があって、その前でシェフが丁寧にお肉を焼いている。

 明らかに高級店だ。そこらの焼き肉とは全く違う……。

 私は緊張からごくりと息を呑んだ。

「こ、こんなとこ初めて来た……お肉だ」
「うん。ここ、結構うまいんだ」

 修は微笑むと、ウェイターに名前を告げる。
 席は広い鉄板の前だった。修に気づいたシェフが目を細める。

「猪沢先生、お久しぶりですね」
「覚えてらしたんですか」
「えぇ、高梨先生も良くいらしてますよ」
「ハハ。相変わらずですね」

 そう言いながら、修はやってきたウェイターに素早くワインを頼む。

(おぉ……すべてがスマートだ。まるでドラマか映画に出てきそう……)

 私はそんなことを思い、それから妙にそれにそわそわした感覚がした。

 だって、修とこんなとこ……大人のデートみたいな場所、来たことなかったし……。
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