私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

 それから買い物を済ませると、栗山先生と一緒にアパートの方まで歩き出す。
 そうしているとやけに落ち着いた。

 栗山先生は不思議だ。
 前から一緒にいるだけで、落ち着くし、やけに思考が整理される。

 それは先生の持つ雰囲気や、優しい口調のせいかもしれない。
 この感情、なんか懐かしい。

(兄弟がいれば、こんな感じだったのかな……?)


 私はそう思って笑い、歩きながら今、少しずつ整理できつつあることを栗山先生に告げる。

「先生、私ね。結婚とかは置いておいて、もう一度きちんと修に向き合うことに決めました」
「そう……」

 栗山先生は途中で足を止めて、私もそれに合わせて止まった。

「5年前のこと、ずっと引きずるのも嫌だから」

 口に出してみてわかった。

 2週間後の自分が、修と結婚するって結論を出しているようには思えないし、結果なんて全く分からない。
 けれど、どんな結果になったとしても、こうやって修のことずっと引き摺ってきた今までよりは前に進める気がするのだ。
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