私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
芦屋先生はきょとんとした顔をした後、「真理ねぇ」と微笑む。
「こんなのっ、誰にも聞けないし……相談できないし……」
「それを相談するのに私を選ぶ辺り、お目が高い」
「鈴鹿先生にはこういうこと相談しにくくて……かといって栗山先生も……」
もっとできない。
適任は私の周りには芦屋先生しかいないのだ。
芦屋先生は、んーっと考える。
「今までAVとか、そういう本とか漫画とか……見たことないの?」
「ないですね」
「そう」
「うち、結構、父が過保護で。そういう、キスシーンですら家で全く見ることなくて」
そう言うと、芦屋先生が何を思い出したのか楽しそうに笑う。
「あらぁ、そういうお宅多いのかしら。うちは小さなころから兄貴たちに囲まれてるからずっとオープンすぎるくらいオープンだったのよぅ」
「うらやましいです。私は一人っ子で……」
「そこまでいっしょなんだ」
誰と? と思ったけど、私は話を進めた。
「もちろん性行為は知ってます。動物の繁殖行動も見てます、専門ですから。教科書の図解も何度も見たし」
「動物と教科書の図解って……」
そう言ってため息をつくと、芦屋先生は微笑む。「まぁ、人間のはねぇ。純粋に子どもを作るためって感じじゃないものねぇ」
芦屋先生の言うとおりだ。
なのにそんなことすること自体も、それを修とすることも、考えると恥ずかしくて死にそうになる。