私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
それから、私は昨日の夜のことを思い出して、ため息をついた。
夜、眠っている時に何かされるんじゃないかと、びくびくして眠れやしなかったのだ。おかげで見事に一睡もできなかったが、無事に一晩を乗り切れた。
考えてみれば、近くにホテルもあるし、確かに狭い我が家(しかも1DK)なんかではなく、ホテルに行ってほしい。
……行って欲しいのだが、修は昔から言い出したら聞かないので、きっとうちから出て行く気はないだろう。
「おかげで私は一睡もできやしなかったですよ。これ1ヶ月続くのかと思ったら絶望します」
「あ……そ、そうなの?」
そう言って、突然、栗山先生は自分の口元を片手で覆った。
(あれ? 栗山先生、顔が赤い……)
そう思って、私はハッと気づく。
「変な想像しないでくださいよ! ないです! 絶対ないですから!」
「健全な大人の男女が一つ屋根の下で何もないほうが不健全だよ」
「本当にやめてくださいって!」
思わず泣きながら叫ぶ。
すると栗山先生は目を細めて、私に問うた。
「……じゃあ、あの人は彼氏じゃないんだ?」
「もちろんそうですって! もし、彼氏なんて作るにしても……あの人だけはありえません」
―――絶対に、修だけはありえない。いや、他もありえないんだけど。
そんなことを思っていると、隣で栗山先生もホッとしたように息を吐いた。