私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
ドラマや映画では見たことあるけど、こんなに間近でこんなところを見たのは初めてで、どきりとして息が詰まった。
救急車の中から男性が運び出される。
走りながら救急隊員が修に報告していた。
「69歳男性、突然胸痛を訴え倒れたそうです。血圧102、脈拍126」
「意識混濁、酸素飽和度は?」
「89です」
「循環器の先生呼んで、ニトロペンと心電図も準備して」
修がそんなことを言い、修たちが見えなくなってから数秒後、私は息を止めていたことに気づいて息を吐いた。
たった一瞬。
だけど、その一瞬があの人の命を左右するんだ……。
ーーーそれに、修の顔、みたことないくらい真剣な医師の顔だった。
「修の、仕事してるとこ初めて見た……大事な仕事なんだよね」
私は呟いて、それからもその場に立ちすくんでいた。