私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
「そうなるとツケが回ってくるのが、猪沢みたいな何でもソツなくこなせるやつってわけ。病院長からも結構プレッシャーもかけられるし、普通に考えたらメンタルでも体力でもいつつぶれてもおかしくない状態だよ」
修が疲れた顔をしている理由がなんとなくわかって、私は口を噤む。
「日本の大学病院なんてなんだかんだ上下関係もガチガチだしさ。ボストンにずっといれば、日本ほど面倒なことは多くなかっただろうに、どうしてわざわざ日本に帰ってきたんだろうね」
そう言われて、私は思わず壮汰さんを見上げる。
壮汰さんは目を細めて、「それくらい誰かに会いたかったのかな」と微笑んだ。
「誰に……?」
「今、一緒にいる人じゃないかなぁ」
そう言って、壮汰さんは私の頭を軽く叩いた。
「……私?」
「そうだと思うよ。猪沢が家に帰れるのを楽しみにしてるの、見てるだけでわかるし」
「そう、なんですか」
「よっぽどかわいいんだろうね。まぁ、その気持ちもわかるけど……」
するりと私の髪を撫でた壮汰さんの手を、私は振り返り両手でガシっと掴んでいた。
「嬉しい。ありがとうございます!」
そして私は壮汰さんの両手をブンブンと上下に振る。
本当にそうだったら……私は嬉しいって思うもん。