私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

「へぇ、婚約までしてたんだ。そうそう、紹介遅れたね、こいつは外科の姫下直子。猪沢とも同期だ」

 壮汰さんが紹介してくれて、私は頭を下げる。

「……そ、そうなんですか。はじめまして、夏目くるみです」


 しかし、姫下先生はブスっとした顔のままだ。
 スタイルも良くてかなりの美人だから、もっと笑ったらいいのに……と思っていると、

「……どう考えても、趣味、かわりすぎでしょ」

と姫下先生は低い声で言い放った。

 それを咎めるように、壮汰さんが、直子、と名前を呼ぶ。

 しかし、姫下先生は勢いよく立ち上がると、
「私、気分悪いから、もう行くわ」と言って行ってしまった。

 颯爽と歩く後ろ姿まで様になっていたけど……
 私は怒っているようなその後姿をぼんやり見ていた。
< 317 / 388 >

この作品をシェア

pagetop