私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

「修くんがボストンから戻ってきて、うちに挨拶に来た時、父さん、はじめてくるみとの仲を許したのよね。くるみはなんとか卒業して、アルバイトであっても好きな仕事ができてたし」

 私はその母の言葉に父を見た。「過保護の上に、頑固なのよ。まあ……父親の嫉妬も入ってたのは確かだけど」

 母は笑って言い、父は照れ臭そうにまた咳をした。


 父の長い後悔を知っていた修が、私とのボストン行きを強行することは確かになさそうだ。
 付き合うのではなく、結婚する、となるなら余計に……。

 でも、私はそんなことを言った父に対して怒りの気持ちはなかった。
 今なら、その気持ちもわかる気がしたから……。


 帰り際、父が私を見て
「たまにはこっちにも戻って来いよ」と低い声で、でもはっきりと言う。
「……うん。いろいろ心配かけてごめん」

 私は頷いて、実家を後にした。

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