私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
「そ、それより! さっき一緒にいた男性の方、退院されたんですね」
私は強制的に話題を変えた。
「あぁ、交通外傷で運ばれてきてね。さすが若いから回復も早くて、こっちが驚いたよ。彼、もうすぐ職場にも復帰できそうなんだ。よっかたよねぇ」
そう言って壮汰さんは目を細める。
今更だけど、医師って人の人生を左右する仕事なんだな、と改めて感じた。
「すごいですね……」
「あぁ、すごい患者さんだよね」
「じゃなくて、壮汰さんが。毎日何人もそういう人診て、治してるんですよね」
「そんなの当たり前のことだよ。猪沢の方が難しい症例でも、失敗も慌てもしないし。そう言う完璧な奴が近くにいると、俺みたいな普通の医者はついていくのに必死だ。猪沢がそんな完璧な医者だから、くるみちゃんも好きになったんだろ?」
そう言われて私は思わず首をひねる。
「え……まさか。修だったから好きになっただけで。医者でも医者じゃなくても、修のことが好きなのは変わらなかったと思います」
私は笑って加えた。「っていうか、お医者さんの修って……今でも結構違和感ありますよ? 白衣着てたら誰かわからないし、前に壮汰さんとお会いしたとき、初めて働いてるところ見たくらいでした」