私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

 そのあと、車で着いたのは水族館だった。
 まるで、普通のデートだ。ずっと私のあこがれていた普通のデート……。

 水族館は、大水槽で悠々と泳ぐ魚たちだけでなく、イルカショーやアシカのライブも楽しくて時間が過ぎるのをすっかり忘れていた。

 夜は帝都リーツ・カールトンホテルの50階にあるレストランへ連れていってくれた。

「いい眺め! あ、スカイツリー見える!」
「あぁ」

 食事もおいしくて、景色もよくて、まるで映画の中みたい。
 食事の途中、私はふと修に聞いた。

「ボストンと、東京と、どっちが景色いい?」
「景色か。わからないな」
「え? なんでよ」
「ボストンは、ついてからずっと研究室にいて、外に出ることなんてなかったから」

 修は当たり前のようにそう言う。

「……せっかくボストンに行ったのに、観光くらい」
「言ったろ。一日でも早く戻りたい一心だったって。くるみに会いたくて。だから景色とか、正直、全然見てないし、覚えてない」

 私が修のこと考えて、諦めて、新しい道を歩きだしている間。
 この人はずっと、毎日、研究に没頭してた。

―――その理由が日本に早く戻るため。私に、もう一度会うため。

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