私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

 俺がそんなことを考えている中、くるみはなおも続ける。

「修は私の事、本当に好きなの? 好きなら置いていったりしない。近くにいてほしいって思うでしょ!」
「くるみ!」
「私どう言われたって、修と一緒にいたい。離れたくない!」

 自分は彼女の自分への思いを少し甘く見ていたのかもしれない。
 その時、そんなことに初めて気づいた。

 自分みたいな欲望はなかったけど、彼女は本当に純粋に俺のことを心から好きだったんだろう。

 自然に彼女に手を差し出しそうになって、慌てて自分の手を握る。

 そんな時、くるみのスマホが音を立てた。スマホの画面には『壮汰さん』と出ている。

(まさか、熊岡か?)

 一瞬で顔が青ざめたのが自分でわかった。

 ここでもう一つ、問題が起こっていることに気づく。これが二つ目の誤算。

 熊岡は優秀な医師だけど、悪い癖がある。
 人の彼女や奥さんに手を出してしまう癖だ。俺は、熊岡とくるみが顔を合わせた時、くるみを幼馴染だと言い張ったが、あとでくるみと接触していたようだ。

「なんでアイツがここで出てくるんだよ……」
「修……?」

―――このタイミングで。

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