私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
「修! な、なんなのっ……なに、変なこと、しないでっ!」
くるみはこれ以上のことを何も知らない。
何も教えてこなかった自分のせいだ。
俺は、自分がしたことの責任をとることと、そして賭けをすることを決めた。
「……なに」
「責任取っていく」
「どういう……意味?」
「男はね、おいしそうな女が目の前にいれば、食いたくなるんだ」
「私っ! おいしくなんてないよっ⁉」
くるみが叫んで、身体を動かそうとするが、両手をベッドに固定しているから身体は全く動かない。代わりに、くるみははじめて俺を男として見て、身体をぶるぶる震わせだした。
「ぶるぶる震えちゃって、かわいいな。もしかして、本当に食べられると思ってる?」
くるみはやっとこうやって自分を見た。
優しい、幼馴染でない、本当の男の自分を。
それを見て、やけに嬉しくて、安心した自分がいた。
「修、は、離して」
「男のこと、ちゃんと教え込むまで離さない」
「じゃ、じゃあ、せめて普通のキスして抱きしめて……」
くるみは言う。
したかったけど、そうしたらきっとくるみを優しく抱いてしまう。
くるみも俺を受け入れて、それから一緒についていくと言い出すだろう。
ついてこないにしても、そんな幸せを知ったくるみを置いていくのは怖かった。
俺は、「だめ」とできるだけ冷たく言い放つ。
「くるみを傷つけるのも、食べるのも……俺だけだ」
できるだけいい思い出にならないようにくるみに教え込んだ。
男を信じないように。俺も男だとわかるように。
―――どんな感情でも、俺のことを忘れないように……。