私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
「俺、いいもの持ってるんだけどな」
それから俺はくるみの目の前にあの時の『婚姻届』を差し出す。
そしてそれを脅し道具に、くるみの家に住むことを強制的に決めた。
「俺、くるみの家に一か月ほど住むから」
「へ?」
「まだマンション決まらなくて」
―――嘘だけど。
「はい?」
「許可は取ってある。ご両親の」
―――お父さんももう懐柔できたよ?
「だから、何言ってんの……?」
「明日から、ここの大学病院に勤めることになったんだ。よろしく」
―――もう逃がす気はないから。
そう思って心の中で微笑んだつもりが、結局顔にも出ていて微笑んでいた。
「じゃ、帰るぞ。案内しろ」
そう言って掴んだくるみの手を、もう一生離さないと思っていた。