私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
そしてそのまま医学部棟にいき、修の研究室に飛び込む。
今日は病院じゃなくて研究室だと聞いていてよかった。
聞いたというか、聞いてもないのに毎日教えてくるのだが……。
「修! なにかしたでしょ!」
修は私を見ると嬉しそうに顔を綻ばせる。そのうえ飄々と、
「くるみからここに来てくれるなんて初めてだな。嬉しいよ」なんて宣う。
私は叫んだ。
「助手交流制度ってなによ! しかも私がなんで修の研究室に!」
それは、助手同士を、ある部局の枠内で交流させる若手向けの制度で、薬学部の場合は、医・歯・薬学部の3つの中で行われる。
抽選制のため、当たるとは思わなかったし、さらに……。
ーーー私の交流先は、修のいる研究室なのだ。
これから一年間、週に2回、修の研究室で仕事をすることになるようだ。
逆に修の研究室の助手も一人、鈴鹿研究室にくることになっているとメールには記されていた。
修は飄々と微笑んで言う。
「あれ? そうなんだ。交流先は抽選なのに、すごい偶然だなぁ」
「こんな偶然があるか!」
(絶対何か裏があるだろ!)
そう思うのだが、修は微笑むと、
「まぁ、いつかはくるみも産休入るだろ? そしたら、そっちでも使える人材増やしておくのは鈴鹿先生の助けになるし、悪いことじゃないだろ」と、すらすらと言葉を紡ぐ。
「た、たしかにそうだけど……」
「それに俺も週にたった2日とはいえ、くるみと大学でも一緒にいられるし、いいよな」
「よくない! なにかが全然よくないっ! 病院長に直訴してやる!」
私が言うと、修は悪い顔で微笑んだ後、
「もう籠絡してるから無理だと思うけどな」と言う。
その言葉に私が絶句した時、修は私の腰にさらりと腕を伸ばして、自分の方に引き寄せた。