私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

 修にぃはじっと私のことを見る。

「くるみは、本当に男として俺が好きなのか?」
「うん。修にぃは違うの?」

 私があっさり答えると、修にぃは小さくため息をつく。

「……とにかく、くるみは連れていけない。邪魔になるだけだ」
「やだ」
「とにかく大学はきちんと卒業しろ。そうでないとご両親に顔向けできない。わかったか?」

 ふるふると首を横に振り続ける私を見て、修はまたため息をつく。

「くるみ。俺の言うことが聞けないのか?」
「修にぃ、私がこっちに残って卒業したら、絶対の絶対に結婚してくれる? 私、修にぃしか好きにならない。修にぃとしか結婚する気ないよ? 約束してくれないと無理やりでもついていく」
「お前は俺に男の幻想を見すぎだ」
「そんなことない。修にぃは、昔から優しかったし、今でもずっとそうだもん」
「それはっ……」

 修は、何かを言いかけて、息を吸って立ち上がるとリビングの奥のクローゼットから一枚の紙を取り出した。

―――それは『婚姻届』だった。

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