私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
私の部屋に栗山先生が来てくれて、そのまま救急箱を取り出して、洗って消毒してくれる。
私は私の右腕を消毒している栗山先生に、頭を下げた。
「すみません」
「いや……僕こそ、部屋に押しかける形になってごめんね」
この先生は、自分が全然悪くないのにこうやって謝る癖がある。
私は最初に会った時を思い出して、思わず吹き出した。
「最初会ったときみたいですね」
「え?」
「ほら、栗山先生が引っ越してきたとき。まさか同じ研究室の先生がお隣に越してきたと思わなくて、研究室で驚いて私、足を机にぶつけて」
「あの時もケガさせちゃったんだよね」
「あの時も私が勝手に怪我しただけですけどね。先生悪くないのに今みたいに謝ってたし」
「でも、僕はこっちに来たばかりで一人だったし、緊張もしてたから……夏目さんが隣にいてくれて随分安心したんだ」
先生はバンソウコウを貼り終えて、思い出したように目を細めた。
ーーー私だって、久しぶりに男の人とちゃんと話せたのは、栗山先生だったのだ。