君と、サヨナラの恋
ため息をついて、梶谷くんを起こさないように静かにカウチから離れる。
そのとき、気持ち良さげに寝こけていた梶谷くんが、不快そうに眉を寄せて小さく身震いをした。
ふと見ると、カウチから一番近い窓が数センチ開いている。
そこから隙間風が入り込んできているようで、窓の横に雑に留められているカーテンが忙しく揺れていた。
起きる気配のない梶谷くんだけど、まだ不快そうに眉を寄せているところを見ると、どうやら隙間風が寒いらしい。
こんなところで、隙間風に吹かれて無防備に寝てたら風邪ひいちゃうかもね。
別に彼が風邪をひこうがひくまいがあたしには関係ないのだけど。
窓くらいは閉めていってあげようかな。
ぐるっとカウチの側面を回って、梶谷くんを起こさないように静かに窓を閉める。
錆びた窓枠が最後にキーッと嫌な音をたてて、梶谷くんが起きてしまうのではないかと焦る。
けれど、彼は目を覚まさなかった。