僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
約束の時間は十三時。
その三分前にチャイムを鳴らすと、葵咲ちゃんのご両親、おばあちゃん、葵咲ちゃん……家族総出で出迎えてくれた。こんなことも初めてだ。
「これ、葵咲ちゃんが好きなアンジェリィクのケーキです」
玄関に通されてすぐ、手にしていた箱をおばさんに手渡す。
「まぁ、理人くん。今日は何事? スーツ着てお土産まで」
今までこんなことしたことないんだから当たり前といえば当たり前の反応だ。正直言うと、やっている僕自身も恥ずかしい。
眼鏡をかけているのを見せるのも初めてだから、丸山家の面々の表情が少し引き締まった気がした。
葵咲ちゃんの方をちらりと見ると、僕の眼鏡姿に少し驚いた風だったけれど、いつかのように不自然に顔を背けるようなこともなくて。
(うん、大丈夫だ)
僕に、今までずっと抱えていたものを話してくれたことで、少し楽になったんだろう。
「まぁ、玄関先で立ち話も何だし、入ってもらえ」
今まで黙って僕とおばさんのやり取りを見ていたおじさんが、何かを察したようにそう言ってくれた。
男同士、何となく通じるものがあるのかもしれない。
その三分前にチャイムを鳴らすと、葵咲ちゃんのご両親、おばあちゃん、葵咲ちゃん……家族総出で出迎えてくれた。こんなことも初めてだ。
「これ、葵咲ちゃんが好きなアンジェリィクのケーキです」
玄関に通されてすぐ、手にしていた箱をおばさんに手渡す。
「まぁ、理人くん。今日は何事? スーツ着てお土産まで」
今までこんなことしたことないんだから当たり前といえば当たり前の反応だ。正直言うと、やっている僕自身も恥ずかしい。
眼鏡をかけているのを見せるのも初めてだから、丸山家の面々の表情が少し引き締まった気がした。
葵咲ちゃんの方をちらりと見ると、僕の眼鏡姿に少し驚いた風だったけれど、いつかのように不自然に顔を背けるようなこともなくて。
(うん、大丈夫だ)
僕に、今までずっと抱えていたものを話してくれたことで、少し楽になったんだろう。
「まぁ、玄関先で立ち話も何だし、入ってもらえ」
今まで黙って僕とおばさんのやり取りを見ていたおじさんが、何かを察したようにそう言ってくれた。
男同士、何となく通じるものがあるのかもしれない。