僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
 邪魔なブラジャーを優しく葵咲(きさき)の腕から抜き取ると、露わになった可愛らしい双丘が、外気にさらされて小さく震えた。

 即座に隠そうとする葵咲の手を、片手で封じると、ピンクに色づく乳輪を、円を描くように優しく舌先でくすぐる。

「んっ……」

 手を封じられたことで胸を隠すことはおろか、顔を覆うこともできなくなって、葵咲がますます頬を染めて瞳を潤ませる。

 理人は、わざと先端の突起を避けて胸を(もてあそ)ぶ。

 長いことそうしていたら、
「理人、やだぁっ……」
 もどかしげに身体をよじる葵咲。それを見て、理人の加虐心がほんの少し頭をもたげた。

「何が嫌なの?」
 分かっていて問いかける。

「それ、ィヤっ……」

「それ?」

 彼女が何をもどかしいと感じているのか分かっていて、絶対に先端だけには触れてやらない。

「触って、お願っ……」

「触ってるよ?」

 さっきは妥協したけれど、ここだけは、絶対に譲る気はなかった。

「違っ……」

「違う? 何が違うの? ちゃんと言ってくれないと分からないよ?」

 耳元に唇を寄せてわざと低音で問いかけると、
「ち、乳首っ……、触って欲しいのっ。お願い……っ」

 泣きそうな顔をして、葵咲が懇願(こんがん)した。

「了解」

 その声に満足そうにニヤリと笑うと、理人は彼女の胸をわざと音を立てて口に含んだ。

「ンあっ……」

 突起を甘噛みするように咥えて、舌先で先端をくすぐる。焦らされて限界まで張り詰めていた葵咲が、堪えきれずに甘い声を漏らす。
 ずっと焦らしてきたから、感度が抜群に上がっている。

 余裕をかましているように振舞ってきたけれど、実際は理人自身も、そろそろ限界だ。
 硬くなった下半身を誇示するように葵咲の大切なところに押し当てながら、切ない吐息を漏らす。
 葵咲の胸を愛撫しながら、理人は束ねていた手を放して、かわりに彼女の手を自分の下腹部へと導いた。

「葵咲、お願い……。下、触って……?」
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