僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
本日のバイトは日本文学科四年生の男の子――鈴木君――だ。
無口だけれどとても真面目な学生で、司書としての知識も姿勢も、他の子たちとは一線を画している。
僕自身、彼がいる時は出番がないなと感じてしまうくらい、レファレンスサービスも割と完璧にこなす子だ。
そして、彼がカウンターにいると、葵咲ちゃんの出現率が高い気がする。
それは彼が、葵咲ちゃんと同じゼミを専攻している先輩だからかもしれないし、ただ単に、鈴木君が割と頻繁にシフトに入っているからそう感じるだけなのかもしれない。でも、一度そんな風に思ってしまうと、何となくモヤッとするのだから僕も大概大人気がない。
せめてもの救いは、鈴木君が葵咲ちゃんに何ら関心を持っていないことだろう。同じ恋する男としての僕の勘だが、彼には他に想い人がいるはずだ。
「鈴木君、僕、裏に入るから何かあったらボタン、押してくれる?」
僕の調べが正しければ、今日はこれから葵咲ちゃんがくる可能性が高い。
葵咲ちゃん、実は僕がここで働いていることをまだ知らない。
サプライズを仕掛けるのも悪くない、と思った。
無口だけれどとても真面目な学生で、司書としての知識も姿勢も、他の子たちとは一線を画している。
僕自身、彼がいる時は出番がないなと感じてしまうくらい、レファレンスサービスも割と完璧にこなす子だ。
そして、彼がカウンターにいると、葵咲ちゃんの出現率が高い気がする。
それは彼が、葵咲ちゃんと同じゼミを専攻している先輩だからかもしれないし、ただ単に、鈴木君が割と頻繁にシフトに入っているからそう感じるだけなのかもしれない。でも、一度そんな風に思ってしまうと、何となくモヤッとするのだから僕も大概大人気がない。
せめてもの救いは、鈴木君が葵咲ちゃんに何ら関心を持っていないことだろう。同じ恋する男としての僕の勘だが、彼には他に想い人がいるはずだ。
「鈴木君、僕、裏に入るから何かあったらボタン、押してくれる?」
僕の調べが正しければ、今日はこれから葵咲ちゃんがくる可能性が高い。
葵咲ちゃん、実は僕がここで働いていることをまだ知らない。
サプライズを仕掛けるのも悪くない、と思った。