僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
外したままのボタンをひとつひとつ留めてから、
「暴走してごめん……」
彼女の耳元に唇を寄せて、ぽつん、とつぶやく。
「僕は君を前にするとどうしても抑えが利かなくなる。もしも本当に嫌なら殴ってくれても構わないから」
葵咲ちゃんの身体を恐る恐る抱きしめながらそう言うと、彼女がこくりとうなずいた。
葵咲ちゃんが、足元に置いていたバッグを手に取ったのを合図に、僕も書架に仮置きしたままだった二冊の本を手に取った。
「また……ちゃんと話そう」
本の裏表紙に貼り付けられた書誌データのバーコードを見ながら、ついでのように付け加える。
じゃあね、とかバイバイとかではなく「また」というところを殊更意識して言葉を紡いだ。
葵咲ちゃんがうなずくのを確認して、僕は本を手にその場を立ち去った。
本当は彼女のいるあたりがこの本の定位置なんだけど……今は、戻せそうにない。
「暴走してごめん……」
彼女の耳元に唇を寄せて、ぽつん、とつぶやく。
「僕は君を前にするとどうしても抑えが利かなくなる。もしも本当に嫌なら殴ってくれても構わないから」
葵咲ちゃんの身体を恐る恐る抱きしめながらそう言うと、彼女がこくりとうなずいた。
葵咲ちゃんが、足元に置いていたバッグを手に取ったのを合図に、僕も書架に仮置きしたままだった二冊の本を手に取った。
「また……ちゃんと話そう」
本の裏表紙に貼り付けられた書誌データのバーコードを見ながら、ついでのように付け加える。
じゃあね、とかバイバイとかではなく「また」というところを殊更意識して言葉を紡いだ。
葵咲ちゃんがうなずくのを確認して、僕は本を手にその場を立ち去った。
本当は彼女のいるあたりがこの本の定位置なんだけど……今は、戻せそうにない。