僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
一目惚れ
僕が通っていた小学校には、登校班というものがあった。
要は近隣に住む子供達をかき集めて、登校時や集団下校時、上級生に下級生の面倒を見てもらおうというシステムだ。
その年、僕の所属する班の六年生は自分だけだったから、僕は否応無く班長にされてしまった。
とはいえ、年々子供の数自体が減少傾向で、僕の地区はその中でも特に高齢化の進んでいる地区だったから、実はここ数年自分より年下の在校生は一人もいなかった。そんな状態で班長と言われても、肝心なメンバーがいなくて笑えるよね。
そう母親に訴えたら、「あら、今年から丸山さんのところの葵咲ちゃんが一年生よ」と教えられた。
「丸山さんって誰?」と問うと、「あぁ、岩村のおばあちゃんのところよ。この四月から娘さんのご家族が同居されることになったの。そのご一家の名前が丸山さん」と。
どうやら岩村家のお嬢さんが嫁いだ先が丸山家で、その娘さん――涼子さんと言うそうだ――とうちの母は幼なじみらしい。
「あんたが学校に行ってる間にお母さん、涼子ちゃんとお茶したの。そのとき葵咲ちゃんにも会えたんだけどね、すごく可愛らしいお嬢さんだったわよ。理人、明日から葵咲ちゃんのこと、しっかり守ってあげるのよ? でなきゃ男がすたるんだからね」
勝手なことばかり言う母親は無視するとして、明日から始まる新学期の登校、見知らぬ小さな女の子と二人きりはさすがにキツイな、と思ったのを覚えている。
要は近隣に住む子供達をかき集めて、登校時や集団下校時、上級生に下級生の面倒を見てもらおうというシステムだ。
その年、僕の所属する班の六年生は自分だけだったから、僕は否応無く班長にされてしまった。
とはいえ、年々子供の数自体が減少傾向で、僕の地区はその中でも特に高齢化の進んでいる地区だったから、実はここ数年自分より年下の在校生は一人もいなかった。そんな状態で班長と言われても、肝心なメンバーがいなくて笑えるよね。
そう母親に訴えたら、「あら、今年から丸山さんのところの葵咲ちゃんが一年生よ」と教えられた。
「丸山さんって誰?」と問うと、「あぁ、岩村のおばあちゃんのところよ。この四月から娘さんのご家族が同居されることになったの。そのご一家の名前が丸山さん」と。
どうやら岩村家のお嬢さんが嫁いだ先が丸山家で、その娘さん――涼子さんと言うそうだ――とうちの母は幼なじみらしい。
「あんたが学校に行ってる間にお母さん、涼子ちゃんとお茶したの。そのとき葵咲ちゃんにも会えたんだけどね、すごく可愛らしいお嬢さんだったわよ。理人、明日から葵咲ちゃんのこと、しっかり守ってあげるのよ? でなきゃ男がすたるんだからね」
勝手なことばかり言う母親は無視するとして、明日から始まる新学期の登校、見知らぬ小さな女の子と二人きりはさすがにキツイな、と思ったのを覚えている。