僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
「今日は二人とも十八時に上がっていいよ」
ロビーに着くと、僕はカウンター内の篠原さんと鈴木君に、何でもないことのようにそう告げる。
「いつもより一時間早いけど、ちゃんと十九時までのお給料はつけとくから安心して」
さすがに学校に払わせるわけにはいかないので、そこは僕のポケットマネーから補填しようと思った。
カウンター後ろに掛けてある、大きなデジタル式の時計は十七時を指していた。
終業時刻まであと二時間。
葵咲ちゃんは閉館間際に来ると言っていたから、その頃には恐らく館内は僕だけになっているだろう。
「……いいんですか?」
少し気後れした感じで尋ねてくる鈴木君に、「いつもよくやってくれてるからたまにはね」と告げてから、彼の入り口でのふらつきを思い出し、「帰ったらゆっくり休んでね」と付け加える。
篠原さんは「何しようかな~」と、どこか嬉しそうだ。一時間なのでそんなに大したことは出来ないだろうけど、彼女にとって予定外に自由時間が増えるのは悪いものではないらしい。
彼らを早く帰らせようと決めた動機が不純で、少し後ろめたい気持ちを抱えていた僕は、彼女の様子を見てほんの少しだけ心が軽くなる。
ロビーに着くと、僕はカウンター内の篠原さんと鈴木君に、何でもないことのようにそう告げる。
「いつもより一時間早いけど、ちゃんと十九時までのお給料はつけとくから安心して」
さすがに学校に払わせるわけにはいかないので、そこは僕のポケットマネーから補填しようと思った。
カウンター後ろに掛けてある、大きなデジタル式の時計は十七時を指していた。
終業時刻まであと二時間。
葵咲ちゃんは閉館間際に来ると言っていたから、その頃には恐らく館内は僕だけになっているだろう。
「……いいんですか?」
少し気後れした感じで尋ねてくる鈴木君に、「いつもよくやってくれてるからたまにはね」と告げてから、彼の入り口でのふらつきを思い出し、「帰ったらゆっくり休んでね」と付け加える。
篠原さんは「何しようかな~」と、どこか嬉しそうだ。一時間なのでそんなに大したことは出来ないだろうけど、彼女にとって予定外に自由時間が増えるのは悪いものではないらしい。
彼らを早く帰らせようと決めた動機が不純で、少し後ろめたい気持ちを抱えていた僕は、彼女の様子を見てほんの少しだけ心が軽くなる。