僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
選書
エレベーターの扉が開くと、果たしてそこには葵咲ちゃんが立っていた。
今日は白地にローズピンクのチューリップがあしらわれた、女性らしい華やかなワンピースだ。素材はシフォンだろうか。
薄い生地が下着を薄ら透けさせていて、僕は何となく目のやり場に困った。
僕が一人でカウンターにいるのを認めると、彼女の方も少し驚いたような顔をして立ち止まる。
そういえば、僕がここで彼女を迎えるのは初めてだ。
「いらっしゃい」
何となくその雰囲気が気まずくて、僕は努めて明るい声で呼び掛けた。
その声に、葵咲ちゃんも弾かれたように歩きはじめる。
カウンターまで来てから、
「理人、ホントにここの職員さんだったんだね」
悪戯っぽく笑う。
「前にちゃんとそう言ったじゃない。こう見えて僕、ここの館長だから」
葵咲ちゃんが笑ってくれたことで、少し緊張の糸が緩んだ。
彼女がトートバッグから取り出した本を受け取りながら、そんな軽口も出た。
「次の、借りる?」
返却処理をしながら問えば、
「いいの? もう閉館時間じゃないの?」
今日は新しい本を借りるのは諦めていたのだと彼女は言う。
「平気だよ。まだ十九時になってないし。それに、僕が閉めない限りここは閉まらない」
今日は白地にローズピンクのチューリップがあしらわれた、女性らしい華やかなワンピースだ。素材はシフォンだろうか。
薄い生地が下着を薄ら透けさせていて、僕は何となく目のやり場に困った。
僕が一人でカウンターにいるのを認めると、彼女の方も少し驚いたような顔をして立ち止まる。
そういえば、僕がここで彼女を迎えるのは初めてだ。
「いらっしゃい」
何となくその雰囲気が気まずくて、僕は努めて明るい声で呼び掛けた。
その声に、葵咲ちゃんも弾かれたように歩きはじめる。
カウンターまで来てから、
「理人、ホントにここの職員さんだったんだね」
悪戯っぽく笑う。
「前にちゃんとそう言ったじゃない。こう見えて僕、ここの館長だから」
葵咲ちゃんが笑ってくれたことで、少し緊張の糸が緩んだ。
彼女がトートバッグから取り出した本を受け取りながら、そんな軽口も出た。
「次の、借りる?」
返却処理をしながら問えば、
「いいの? もう閉館時間じゃないの?」
今日は新しい本を借りるのは諦めていたのだと彼女は言う。
「平気だよ。まだ十九時になってないし。それに、僕が閉めない限りここは閉まらない」