僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
退院
目が覚めてから退院まではあっという間だった。
幸い、頭を打ったことで心配された脳の損傷などもなく、経過は極めて順調で。
眠っている間に額を十針ほど縫われたらしいけれど、位置が割と上のほうで髪の毛に隠れるし、傷の大きさ自体も三.五センチ程度でそんなには目立たない、と医師から説明を受けた。
僕は女の子じゃないから、顔に傷が出来たところでそんなに気にすることではない。
傷口を大仰なガーゼと包帯に覆われた自分の顔を見て、怪我をしたのが葵咲ちゃんでなくて良かった、と心底思う。
もしあの時、彼女が僕のような目に遭っていたら……。
そう考えるだけで、僕は恐怖に足がすくんだ。
幸い、頭を打ったことで心配された脳の損傷などもなく、経過は極めて順調で。
眠っている間に額を十針ほど縫われたらしいけれど、位置が割と上のほうで髪の毛に隠れるし、傷の大きさ自体も三.五センチ程度でそんなには目立たない、と医師から説明を受けた。
僕は女の子じゃないから、顔に傷が出来たところでそんなに気にすることではない。
傷口を大仰なガーゼと包帯に覆われた自分の顔を見て、怪我をしたのが葵咲ちゃんでなくて良かった、と心底思う。
もしあの時、彼女が僕のような目に遭っていたら……。
そう考えるだけで、僕は恐怖に足がすくんだ。