僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
***

 明日退院できると言うことになった日。

 一人じゃ大変だろうし、迎えに来ると言ってくれた両親に、「子供じゃないんだから大丈夫だよ」と告げて、僕は彼らの厚意をやんわりと辞退した。

 そうしながら頭の片隅では、葵咲(きさき)ちゃんが来てくれたらいいなぁとか思っていたんだから酷い息子だと思う。

 結局目が覚めてからはバタバタして、彼女とマトモに話せず終いになってしまっていたんだから仕方ない。

 もし仮に退院のときに会えなかったとしても、どこかで時間を作ろう。

 そう思っていた。

 なのに……!
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