僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
『……やっと繋がった! 理人、元気なのっ?』
もしもし、という僕の声を聞くなり、葵咲ちゃんが矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
彼女は僕の退院に付き添って僕をアパートまで送り届けた後、毎日のように図書館やアパートへ足を運んでいたのだと言った。
『図書館はずっと閉館のままだし、アパートもいつも留守だし。携帯も通じないから連絡の取りようもないし……。私、ホントに心配したんだよっ?』
いつも割と穏やかな口調の彼女が、珍しくまくしたてるように言う。
幼い頃は結構こんな感じだった葵咲ちゃんだけど、長じてからは僕が言葉を発して、彼女はそれに二言三言答える、という感じだったから。
僕は、葵咲ちゃんのそういう饒舌な反応だけで、彼女にどれだけ負担を強いていたのかを痛感させられた。
「ごめん……」
ずっとスマホが見つからなくて……、と続けようとして、やめる。
そんなのただの言い訳だ。
忙しいのを理由に葵咲ちゃんに連絡を取らなかったのは、僕の怠慢。
何となく、次に彼女に連絡する時には……僕たちの関係に白黒をつけなくてはいけない気がして……。それが怖くて連絡できなかっただけなのだから。
もしもし、という僕の声を聞くなり、葵咲ちゃんが矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
彼女は僕の退院に付き添って僕をアパートまで送り届けた後、毎日のように図書館やアパートへ足を運んでいたのだと言った。
『図書館はずっと閉館のままだし、アパートもいつも留守だし。携帯も通じないから連絡の取りようもないし……。私、ホントに心配したんだよっ?』
いつも割と穏やかな口調の彼女が、珍しくまくしたてるように言う。
幼い頃は結構こんな感じだった葵咲ちゃんだけど、長じてからは僕が言葉を発して、彼女はそれに二言三言答える、という感じだったから。
僕は、葵咲ちゃんのそういう饒舌な反応だけで、彼女にどれだけ負担を強いていたのかを痛感させられた。
「ごめん……」
ずっとスマホが見つからなくて……、と続けようとして、やめる。
そんなのただの言い訳だ。
忙しいのを理由に葵咲ちゃんに連絡を取らなかったのは、僕の怠慢。
何となく、次に彼女に連絡する時には……僕たちの関係に白黒をつけなくてはいけない気がして……。それが怖くて連絡できなかっただけなのだから。