僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
Aria
アリアに入ると、夕飯時のピークを過ぎていたこともあって、店内は比較的空いていた。
店に入ると同時に、案内にやってきたウェイターに、目線で奥の席がいいとアピールしてみた。通じたらラッキーくらいのつもりだったが、さすがというべきか。察しのいい彼は、それだけで希望通りの席に通してくれた。
(やはりこの店はいつ来ても店員の質がいい)
僕らの前に立って歩く長身の後ろ姿をぼんやり眺めながら、そんなことを思う。
悔しいけれど、彼の方が僕より五センチばかり背が高かった。僕だって一七九センチあるし、それほど低い方ではないと思う。むしろ一五六センチの葵咲ちゃんからしたら僕との身長差だってあり過ぎるかもしれないくらいで。
そう思いながら、僕の後ろにいる葵咲ちゃんを振り返ったら、彼女が僕の肩越しにウェイターを見ている気がした。
途端、さっき葵咲ちゃんが言った、「みんなかっこいいし」というセリフが脳裏に蘇ってきて、僕は無意識にため息を漏らす。
何となくモヤッとして、思わず葵咲ちゃんの手を握ると、僕は彼との間に入って彼女からウェイターの背中が見えないようにした。
とても些細なことだけど、それだけで少し気持ちが軽くなる。
馬鹿げているし、子供っぽいな、と自分自身でも思う。そう気付いたら、図らず苦笑してしまった。
店に入ると同時に、案内にやってきたウェイターに、目線で奥の席がいいとアピールしてみた。通じたらラッキーくらいのつもりだったが、さすがというべきか。察しのいい彼は、それだけで希望通りの席に通してくれた。
(やはりこの店はいつ来ても店員の質がいい)
僕らの前に立って歩く長身の後ろ姿をぼんやり眺めながら、そんなことを思う。
悔しいけれど、彼の方が僕より五センチばかり背が高かった。僕だって一七九センチあるし、それほど低い方ではないと思う。むしろ一五六センチの葵咲ちゃんからしたら僕との身長差だってあり過ぎるかもしれないくらいで。
そう思いながら、僕の後ろにいる葵咲ちゃんを振り返ったら、彼女が僕の肩越しにウェイターを見ている気がした。
途端、さっき葵咲ちゃんが言った、「みんなかっこいいし」というセリフが脳裏に蘇ってきて、僕は無意識にため息を漏らす。
何となくモヤッとして、思わず葵咲ちゃんの手を握ると、僕は彼との間に入って彼女からウェイターの背中が見えないようにした。
とても些細なことだけど、それだけで少し気持ちが軽くなる。
馬鹿げているし、子供っぽいな、と自分自身でも思う。そう気付いたら、図らず苦笑してしまった。