僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
思春期の女の子の気持ちというのは、9つ年の離れた兄がいるだけの僕には予測不可能だった。
あんなに僕に懐いて、可愛らしい子犬みたいにまとわりついていた葵咲ちゃんだと言うのに。
いつの頃からか、親しげに呼びかけられていた「お兄ちゃん」という呼び名が、どこかよそよそしい「理人さん」に変わり、それもやがて「理人」と呼び捨てになってしまった。
呼び名の変化にリンクするように、彼女との距離もどんどん開いていって……。
順風満帆にしか思えなかった僕の光源氏計画は、一体どこで崩れてしまったんだろうか?
敗因があるとすれば、僕の大学受験が大きい気がする。次いで、進学のため実家を4年間も離れてしまったことが、決定打になった。
どうしても学びたいことがあり、苦渋の決断で遠方の大学に進学した僕だったが、長期休暇のたびに実家に帰り、葵咲ちゃんの家を訪問したが、彼女はどんどん僕に対して冷たくなっていって――。
大学三年生に進学する年の春、彼女の高校合格祝いに駆けつけた時には、僕は葵咲ちゃんから完全に無視されるようになっていた。
あんなに僕に懐いて、可愛らしい子犬みたいにまとわりついていた葵咲ちゃんだと言うのに。
いつの頃からか、親しげに呼びかけられていた「お兄ちゃん」という呼び名が、どこかよそよそしい「理人さん」に変わり、それもやがて「理人」と呼び捨てになってしまった。
呼び名の変化にリンクするように、彼女との距離もどんどん開いていって……。
順風満帆にしか思えなかった僕の光源氏計画は、一体どこで崩れてしまったんだろうか?
敗因があるとすれば、僕の大学受験が大きい気がする。次いで、進学のため実家を4年間も離れてしまったことが、決定打になった。
どうしても学びたいことがあり、苦渋の決断で遠方の大学に進学した僕だったが、長期休暇のたびに実家に帰り、葵咲ちゃんの家を訪問したが、彼女はどんどん僕に対して冷たくなっていって――。
大学三年生に進学する年の春、彼女の高校合格祝いに駆けつけた時には、僕は葵咲ちゃんから完全に無視されるようになっていた。