僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
案内されたテーブルまで来ると、僕は葵咲ちゃんに好きなところに座ってもらって、自分はその向かい側に腰をおろす。
よく、女性は奥側の席に、とか聞くけれど、僕はそういうのは余り関係ないんじゃないかな?と思っている。
席なんてお店にもよりけりだろうし、それこそ同じ店内でも奥側が必ずしも好もしい席だとも限らない。正直な話、相手が座りたい席に座ってもらって、僕がそれに合わせるのが一番合理的なんじゃないかなと思う。
「夕飯、食べた?」
メニューを手渡しながら尋ねると、葵咲ちゃんはふるふると首を横に振った。
向かい合わせに座ったことで、嫌でも僕と対面しなくてはいけなくなった葵咲ちゃんが、時折チラチラと僕の顔を上目遣いに窺うのが可愛くて、メニューを眺める体で顔を隠して、にやけるのを誤魔化した。
そのままメニュー越しに「お腹空いてる?」と聞くと、「うん……」と小さく返ってきた。
車に乗ってからこっち、全然声を発してくれなかった葵咲ちゃんが、向かい合わせの緊張のせいか、ジェスチャーだけじゃなく、言葉にして答えてくれたことに、僕は軽く驚いた。うん、これは大前進だ。
「僕も腹ペコ。とりあえず何か頼もっか」
話は食べながら少しずつすればいいか、と思いつつ。
もちろん大事な話は食べ終わった後で落ち着いてしたほうがいいだろうけど、とりあえずバイトの子達に対する誤解を解くのなんかは、食べながらのほうが軽めに話せていいかもしれない。
よく、女性は奥側の席に、とか聞くけれど、僕はそういうのは余り関係ないんじゃないかな?と思っている。
席なんてお店にもよりけりだろうし、それこそ同じ店内でも奥側が必ずしも好もしい席だとも限らない。正直な話、相手が座りたい席に座ってもらって、僕がそれに合わせるのが一番合理的なんじゃないかなと思う。
「夕飯、食べた?」
メニューを手渡しながら尋ねると、葵咲ちゃんはふるふると首を横に振った。
向かい合わせに座ったことで、嫌でも僕と対面しなくてはいけなくなった葵咲ちゃんが、時折チラチラと僕の顔を上目遣いに窺うのが可愛くて、メニューを眺める体で顔を隠して、にやけるのを誤魔化した。
そのままメニュー越しに「お腹空いてる?」と聞くと、「うん……」と小さく返ってきた。
車に乗ってからこっち、全然声を発してくれなかった葵咲ちゃんが、向かい合わせの緊張のせいか、ジェスチャーだけじゃなく、言葉にして答えてくれたことに、僕は軽く驚いた。うん、これは大前進だ。
「僕も腹ペコ。とりあえず何か頼もっか」
話は食べながら少しずつすればいいか、と思いつつ。
もちろん大事な話は食べ終わった後で落ち着いてしたほうがいいだろうけど、とりあえずバイトの子達に対する誤解を解くのなんかは、食べながらのほうが軽めに話せていいかもしれない。