僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
フェードアウトは許さない
大学3年の夏休み。僕はバイトも何もかも取りやめて実家に帰省した。
大学の夏季休暇は長い。僕の通う大学のそれも、7月に入ったと同時に始まり、8月の終わりまで丸2ヶ月間が休みになる。
高校生のころまでと違い、夏休みの宿題なんてものもないし、学部によりけりだとは思うが、それこそ何もない自由な時間が確保できるのだ。
3年生ともなれば卒業論文の準備などを怠るわけにはいかなかったが、幸い勉強はやらなくても出来るほうだし、何より僕はずば抜けて要領がいい。
卒論に書くことはあらかた決まっていたし、そのための資料集めも日頃からコツコツとしてあったから、あえてこの夏バタバタする必要もなかった。
要するに、夏休みをまるっと葵咲ちゃんのために使えるのだ。
無視されたままなんて冗談じゃない。せっかく長い年月かけて慈しんできたのだ。わけもわからずフェイドアウトなんて許すわけにはいかないだろ。
前期最終日の夜には新幹線に飛び乗って帰省の途についていたので、夏休みを1日も無駄にすることなく生まれ故郷の町に帰ることができていた。
まさに細工は流々のはずだった。それなのに――!
大学の夏季休暇は長い。僕の通う大学のそれも、7月に入ったと同時に始まり、8月の終わりまで丸2ヶ月間が休みになる。
高校生のころまでと違い、夏休みの宿題なんてものもないし、学部によりけりだとは思うが、それこそ何もない自由な時間が確保できるのだ。
3年生ともなれば卒業論文の準備などを怠るわけにはいかなかったが、幸い勉強はやらなくても出来るほうだし、何より僕はずば抜けて要領がいい。
卒論に書くことはあらかた決まっていたし、そのための資料集めも日頃からコツコツとしてあったから、あえてこの夏バタバタする必要もなかった。
要するに、夏休みをまるっと葵咲ちゃんのために使えるのだ。
無視されたままなんて冗談じゃない。せっかく長い年月かけて慈しんできたのだ。わけもわからずフェイドアウトなんて許すわけにはいかないだろ。
前期最終日の夜には新幹線に飛び乗って帰省の途についていたので、夏休みを1日も無駄にすることなく生まれ故郷の町に帰ることができていた。
まさに細工は流々のはずだった。それなのに――!