僕惚れ①『つべこべ言わずに僕に惚れろよ』
「小学四年生の頃の夏休みに私が理人の家に行ったの、覚えてる?」
葵咲ちゃんが小四といえば、僕は……中三か。
子どもの頃は割としょっちゅうお互いの家を行き来していたから、僕には彼女がどの時のことを話しているのか今いちピンと来なかった。
「ごめん、いつのことだろう?」
言うと、葵咲ちゃんは何を思い出したのか、真っ赤な顔になった。
「ゆ、夕方、理人の家の玄関開けたら……その……お風呂上りの貴方がいて……」
あ、言われてみればそんなこと、あった気がする。
「でもあの時って葵咲、すぐに帰らなかったっけ?」
確か、入って、って促したけど、彼女は「ごめんなさい」の言葉を残して逃げるように立ち去ったのだ。葵咲ちゃんは何しに来たんだろう?って思ったのを覚えている。
「あの時……私、裸の理人を見て……初めて……その、貴方が男の人なんだって……意識したの」
それまではお兄ちゃんだと思っていた、と葵咲ちゃんは消え入りそうな声で付け足した。
その時に、風呂上りの僕は眼鏡をかけていたらしい。
だから僕の眼鏡姿を見ると、当時の記憶がフラッシュバックして恥ずかしくて堪らなくなるのだと彼女は言った。
葵咲ちゃんが小四といえば、僕は……中三か。
子どもの頃は割としょっちゅうお互いの家を行き来していたから、僕には彼女がどの時のことを話しているのか今いちピンと来なかった。
「ごめん、いつのことだろう?」
言うと、葵咲ちゃんは何を思い出したのか、真っ赤な顔になった。
「ゆ、夕方、理人の家の玄関開けたら……その……お風呂上りの貴方がいて……」
あ、言われてみればそんなこと、あった気がする。
「でもあの時って葵咲、すぐに帰らなかったっけ?」
確か、入って、って促したけど、彼女は「ごめんなさい」の言葉を残して逃げるように立ち去ったのだ。葵咲ちゃんは何しに来たんだろう?って思ったのを覚えている。
「あの時……私、裸の理人を見て……初めて……その、貴方が男の人なんだって……意識したの」
それまではお兄ちゃんだと思っていた、と葵咲ちゃんは消え入りそうな声で付け足した。
その時に、風呂上りの僕は眼鏡をかけていたらしい。
だから僕の眼鏡姿を見ると、当時の記憶がフラッシュバックして恥ずかしくて堪らなくなるのだと彼女は言った。