運命の歯車




 学校に行っても、頭の中にはにぼししかなくて、課題のデッサンよりも、ずっとにぼしをかきあげていた。
その絵を見返しては顔が赤くなる始末……
 お昼になってゆきえが心配そうに私を見た。

「ちょっと、大丈夫? なんだか、かな子、顔赤いよ」

「うん……」

ゆきえになら、言ってもいいかな。
昨日、私、初恋を経験したの。
言おうとしてなんだかうまく言葉にならない。
にぼ、まで口にしたけどきゃーっと顔を覆ってしまった。




「あ、恋?」

ゆきえが鋭くしてきする。
「そうなの……あのね、王子さまは袋詰めされてたの」
 ゆきえは、ぎょっとしたけれどすぐに、そっかーついにかな子にも春が来たのね、と祝福してくれた。

「告白はしないの?」

告白……
して、どうなるだろう?にぼしの自由を、私が奪って良いわけじゃない。
胸が、ずきずきといたくなる。
「こわいよ、ううっ」

にぼしに、嫌われたら私、何を食べればいいの?私は涙を流していて、集中が出来なかった。

どきどきんと、心臓が暴れていた。
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