運命の歯車
私は人間だっていうのはわかってる。でも、でもにぼしを好きな気持ちは変わらないよ。
たとえ、にぼし子ちゃんがいたって。
袋に詰められた干からびた身体、そこから発せられる、まるで私をひきこむフェロモン。
私に染み付いて離れない。
だけど、にぼし子ちゃんが居る。
こんな辛い想いするなら……あの日、お味噌汁なんか作らなきゃよかったのに。
人の気がないからとえらんだ保健室の隣の休憩室のなかで、
お弁当を食べながら私はゆきえに泣きついた。
「うわあああん!」
「どうしたの、かな子」
ゆきえは心配そうに私を見て聞いてくれるから私は涙をこらえながら答える。
「あのねっ、彼女、いる、みたい」
「袋詰めされてた王子さま?」
うん、と私は涙ぐみながら頷く。ゆきえはそんな私の頭をよしよしと撫でながら微笑んだ。
「まだ、決まったわけじゃないんでしょう? あんたのことだから、どうせ早とちって突っ走ってるだけだよ」
「そうかなぁ…… 」
「そうよ、まず、ちゃんと確かめてみないと」
ゆきえに励まされて私はお弁当のコンビニおにぎりを食べながら、決心した。
「私、告白する!」
どうなるかはわからないけど、にぼしに、私が、人間としてにぼしに惹かれていることをこの気持ちを伝えたい。
抱えておくのは、苦しい。