運命の歯車

「どうして、そんなに好きになったと気づいたの?」
ゆきえが聞いてくる。
私は顔を赤くしながら答える。

「お味噌汁を、ね、いつも……おいしくつくってくれてて、私、ずっと気になってた」

スーパーでよく見かけて、気になり、思いきって声をかけたのは、一ヶ月前……

「うっそ、料理できるんだ」
ゆきえが、びっくりしたようなはしゃいだ声をだす。
「あ、当たり前じゃない! 料理くらい。すごいんだから」

私だって料理くらいする。
「わぁ、あんたがそんなにいきいきとするのを、私はじめてみた。そっか、そっか。ごちそうさま」

「ゆきえ、もう食べ終わったの?」

「あんたのことよ~。幸せものだな。味噌汁まで飲んじゃって!」
 顔があつくなる。
どきんどきん、心臓が、うるさい。

「うん……幸せ」

「かな子の気持ち、私応援するよ!」

ゆきえは両手でガッツポーズを作る。ありがとう。
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