運命の歯車
「どんな相手なの?」
おーいお茶を吹き出しそうになった。
ゆきえは、爽健美茶を手にして慌てて身体ごと避ける。
「危ないよ、もうっ」
「ごめん」
「いいけどー。それで?」
「あ、あったかくて、まろやかで……少し、渋みもあって」
「ふーん、ちょっと渋いとこがある温厚な人かぁ……会ってみたいな~」
「だ、だめぇ!」
「わかったわかった、あんたたちの邪魔はしないから。きちんと気持ちを伝えておいで」
ゆきえに背中を押されて、私は勇気をもらいながら午後の授業を受けた。
「はぁうー、ねこまんまって、英語でなんて言うんだろ?」
放課後になってそんな疑問に頭が支配されながら私は椅子に座り、教科の先生が去り際に言ってた宿題の範囲をチェック、メモしていた。
キャット・フード?
いや、それよりも。
放課後だ。
家にかえったら、にぼしに告白する……
改めて考えたらカァッと顔が熱くなる。
私、できるかな。
今からでも神社の恋愛成就のお守りを買った方がいいのかもと、悩む頭、それからねこまんまを英訳できずに悩む頭。
プシュー、とショートして私は机に突っ伏した。がばりと起きてノートにペンを走らせる。
「ジローは、家に着くなりご飯を用意し気に入っていたキャットフードを食べました! よし、カンペキ!」