運命の歯車
帰宅。
ドアを開けて、手を洗い部屋にはいっても、なかなか戸棚に行く勇気がなく、こたつのそばに寝転がって何度もシミュレート。
テスト勉強もこのくらい何度もしたら、もっと賢くなれそうなのだが。
「はぁう~、できるかな」
もらったお守りを握りしめながら何度も深呼吸。
「セグロって、よんでくれ」
耳元で声がして、私はひゃっと跳び跳ね起きた。
にぼし、ううん。
セグロさんの身体が、真横に寝転がっていた!!
「ぴゃああ! しぇ、しぇぐろた……っ」
「セグレタ……秘密な響きだ」
なんで!?
なんでこんなとこに、にぼしが!
私は混乱した。
にぼしが、セグレタとか言い出したことも、ここに居るのにも。
心のなかが、にじんでしまったのかもしれない。まさかテレパシーかなにかが、働いてる?
なわけないか。
「あ、あの……」
私が何を言い出すかも考えずに口走ると、にぼしは横たわったまま言う。
「片口セグロ、そう呼んで欲しいんだが」
「セグロ、さんは、どうして、ここに。戸棚で袋詰めされていたはずじゃあ」
ばっくんばっくんと、心臓がなっている。