ディープ・アフェクション
それに反応して顔を上げれば、皇明はムッと眉根を寄せて私を見下ろしている。相変わらず目付きが悪いこと。
「告白って誰にだよ」
「えぇと…3年のバスケ部の中尾《なかお》って人。有名らしいけど知ってる?」
「あー…長髪のチャラそうな奴?」
「うん、多分それ」
「お前、3年と関わりなんかあったの?」
「ないけど……なんかいきなり話しかけられてさぁ」
「いやだからなんでだよ」
ローファーを履き終えて、隣に並んで歩く。
いつも「おー」とか「へぇ」とか。そんな事しか言わない皇明にしては珍しく質問攻めしてくるな…と思いながら「さぁ?」と首を傾げた。
「あ、でもなんか、私が金髪でピアスぼこぼこにつけてるから目立ってるって言われた」
「……」
「それで気になって、目で追ってるうちに好きになっちゃったんだって。そんな事ってあるの?」
「そう言う奴がいるって事はあるんじゃねえの。知らねえけど」
「…ふーん、そっか」
よく知りもしないのに、姿を見ているだけで“好き”なんて。私にはよく分からない。
テレビの向こうにいる芸能人に憧れを抱くような感じなんだろうかと一瞬考えたけれど、私は決して芸能人のように大それた存在じゃない。