ディープ・アフェクション
ツンとした表情のまま、眉も動かさずにそう聞いてくる皇明のやわらかい髪を指にくるくると巻き付ける。
「空大に言ってなかったんだ?」
「…何を?」
「私たちがキスも、それ以上もする仲になったって」
「…んなこといちいち言わねーだろ」
そうなんだろうか。そういうもんなんだろうか。
恋愛初心者には全く分からない。
だけど、皇明がそうだと言うなら、そうなんだろう。
私の恋愛は、今までずっと皇明が基準で回っている。皇明しか知らないから。皇明を想う気持ちしか持ち合わせていないから。
「で、どっち?」
腕を伸ばして漫画をローテーブルの上に置いた皇明が、ちらりと私を見上げる。
「すんの、しねえの」
「…皇明はどっち?」
「どっちでも」
…別に、何もこういうとき、必ず抱き寄せてほしいわけじゃない。
ただ、たまにでいいから、少しくらい愛情を示してくれてもいいのになと思うくらいで。
それだって別に、毎日思うわけじゃない。