今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「コイツの死体埋めんなら、どこがいっかなー」

「誰にも見つからないぐらい地下深くだ」

「おっ、さんせー」

「「いいかお前、俺の嫁に手出ししたからぶっ殺す」」


颯と意見一致、いまからコイツは死刑だ。


「お前ら重すぎ」

うるせぇ。

「重いに越したことねぇだろ?」

「どーせなら天音連れてこいよあ・ま・ね!」

「殺す」


俺の天使の名を……。


「いーか、天音が学園で天使さまって呼ばれてるのは、天音の愛らしい名を公の場に出さないためだ!!!」

「同じくようちゃんもだ!!」

「え、キモ」

簡単に天音という名を出すことを俺は許さない。


天音という名前がどれほどに高貴で大切な名前か知らないヤツがほざきやがって……。

「……ってかさ、俺様を呼んでおいてなんなんだよ」

「やめだ。久遠正気を取り戻せ」

「……」

「じゃないとようちゃんの気配が気取れなくなる……」


もうコイツ(颯)もどうでもいい。

……俺が、コイツ(白雪)に聞きたかったのは……。


「小さい頃の天音は、どうだったんだ」

「ははっ、そりゃあもう可愛くて優しくて……こんなヤツ、この世にいるのかって思うくらいだった」


……。



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