今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
けど……久遠くんみたいになれないって……?


「なんで……僕は天音ちゃんを好きになっちゃだめなの……。なのに……どうして、天音ちゃんは僕のこと、恋愛感情でもないくせに好きって言うの……?」

「へっ……?」

先輩……?


【side 伯斗】


そうだ……。

いつもいつも、無心と僕のこと好きっていって……ひどいよ。


「好きだよ」

「あ、ありがとう、……ございます……?」

「ちがうよ」


僕がいまなにをほざこうと、誰も不幸になるわけじゃないんだから……言わせて。


「天音ちゃんを、愛してる」

「……ふぇ?」

言ってはだめだとわかっていても……もう抑えられない。


こんなクズでゲスなこと、天音ちゃんにはさせたくないけど……。


「久遠にフラれて、苦しいなら……僕と付き合って、忘れちゃわない?」

天音ちゃんの腰に手を回して自分に身をぎゅっと


「えっ……?」

「すっごく苦しいでしょ?」


優しくして、天音ちゃんが僕のものになるようにと願いを込めて優しく頬を撫でる。


「久遠は……ヒドイんだ」

「えっ……?」

「天音ちゃんは知らないかもしれないけどさ……久遠は不良だし……よく色んなヤツを脅すんだよ」


これは事実だ。


あの如月颯と暴走族を潰し回っていた、それに……天音ちゃんを守るために、色んなヤツを脅して買収して……。


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