今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
いくら天音が優しいからって、これぐらいのことになるなんて誰も思わないだろに。


それに……同級生の男子は文武両道の久遠を尊敬している者が多いらしい。


ずるいよな。そんなヤツらが両想いだったら入る隙間があるはずないのに。


「……天音、俺の部屋行こう?」

「……っ!や、やだっ……」

「またいっぱい“痕”つけてあげる」

「……はっ!っ……!!」


天音は急になにかを思い出したかのように顔を真っ赤に染め上げた。


「えっ、なになにー!天音ちゃんキスマついてんじゃーん!」

「うわマジジャーン」


女子たちが天音に近づいている。


キスマ……?

……久遠がやったのか……。


っていうか、さっきからおかしいよな……。

久遠のどす黒いオーラも半端ないし、天音は久遠を避けるし。


「あははっ、みんな天音が困るからやめて」

「この変態クソ男!!なにやってんのよ天音に!!」


すると1人陽奈が久遠に向かってそう言った。


「ソーダソーダ!陽奈ちゃんの言う通りだ!」

後ろから颯もそうほざき始めた。


「……変態だなんて失礼だな。これは天音が俺のものだってわかるように付けたのに」

「っ……!私は久遠くんのものじゃない!!!!」


天音はきっぱりそう言って久遠から逃げようとしているけれど、まったく抵抗できていない。

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