今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
ううっ……そんなに可愛いお顔をされたら……誰も逆らえないよっ……。


……久遠くんは私の手をぎゅっと握って、少し後ろから歩いてついてくる。


ガラガラッ……。


静かに教室のドアを開けると……視線が一気に私たちに向いた。


「……え、えっと……すみませんっ……いまからちゃんと授業受けます……!!」

「おー、わかったからとっとと席座れ」

「は、はいっ……」


すると、久遠くんも私の席の方へ久遠くんも付いてくる。


「あ、あのっ……久遠くん……?」

「……」

「自分の席、こっちじゃないよねっ……?」


無言で私の席に座った久遠くん。


そして席に座ったと思えば、私の方を向いて愛らしく自分の膝をポンポンとしている久遠くん。


授業も進んでいるのにも関わらずこんなところに立っているわけにもいかないので、仕方なく久遠くんの膝の上に座った。


「うわなにあれ可愛いっ……」

「久遠といると余計に天音ちゃんの小ささが目立つわよねー」

「あの身長差が萌えるわよねマジで」

「30センチくらいあんじゃないの?」


みんなこそこそと私たちの話をしてる。


そして私に関わる言葉が発せられた時、私のお腹に廻されている手が強く力む。


「なんで……僕の天音を……」

私の首筋に顔を埋めながら久遠くんはそう呟く。
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